飲めばポカポカ
おいしく簡単 懐かしの4種
朝日新聞12版 平成15年2月17日


春が近づいているとはいえ、今年の冬は厳しい寒さが近づいている。こんなとき、体を芯から温めてくれるホットな飲み物がありがたい。料理研究家の中城裕美さんに、昔ながらの卵酒やショウガ湯など、飲み物4種類の作り方を教えてもらった。

卵酒

 風邪をひいたかな、という時に飲む人も多いのでは。作り方によっては、卵がダマになって固まってしまい、口当たりが悪くなる。中城さんは「最初に卵と砂糖をすり合わせておくのがコツ」と話す。
 そこへ、つなぎの役割をする牛乳を加え混ぜ、酒を入れてから加熱する。こうすれば、ミルクセーキのような卵酒ができあがる。
(湯のみ2杯分)
【材料】卵黄1個、砂糖35g、牛乳20cc、日本酒100cc
  1. 卵黄と砂糖を鍋に入れ、泡立て器で白っぽくなるまですりあわせ、牛乳を入れて混ぜる。
  2. 日本酒を加え、沸くまで中火にかけて温める。

甘酒

 酒かすを使うと、手軽にできる。材料を量ったら、鍋にどんどん入れていく。「乾き気味の酒かすでしたら、しばらく置いて水分になじませるといいでしょう」
 火にかけて温めると、自然に酒かすがゆるむ上、泡立て器でかき混ぜるので、滑らかに仕上がる。
(湯のみ4杯分)
【材料】酒かす(板かす)100g、日本酒、水各150cc、砂糖30g、ショウガ汁小さじ半分
  1. ショウガ汁以外の材料を鍋に入れる。
  2. 泡立て器でかきまぜながら中火で煮る。ふつふつしたら火を止めて、好みでショウガ汁を加える。

ショウガ湯

 火にかける時、かたくり粉が下にしずむとこげてしまうので、よくかき混ぜて。
 火から下ろし、最後にショウガ汁を加えるのがポイント。最初から入れるとえぐみが出てしまう。
(湯のみ2杯分)
【材料】おろしショウガ汁こさじ1、レモン汁小さじ半分、砂糖大さじ1、5、水150cc、ハチミツ小さじ2、かたくり粉小さじ1
  1. ショウガ以外の材料全部を鍋に入れ、かき混ぜながら、中火で温める。
  2. ふつふつとしてとろみがつき、30秒ほどしたら、火から下ろし、ショウガ汁を入れてひと混ぜする。

リンゴのくず湯

 熱してとろみがついた湯の中に、リンゴをすり入れる。皮ごとなので、湯がピンクに染まり、目にも楽しい。「きれいな色も、元気のもとになるでしょう」。皮が気になる人はむいてからすり下ろす。
(湯のみ3杯分)
【材料】リンゴ中半個、くず粉10g、水200cc、砂糖大さじ2、ハチミツ小さじ1
  1. 鍋にくず粉、水、砂糖を入れ、泡立て器でかき混ぜてとかす。中火にかけ、かき混ぜながら、沸騰してふつふつしてから30秒ほど煮る。
  2. リンゴを皮ごとすりおろし、鍋に加える。ハチミツも加える。
  3. 再び火にかけて、温める。

4種類とも材料の量はあくまで目安。好みに合わせて酒や砂糖などの分量を増減させて構わない。
 中城さんは「最近は、家庭でこうした飲み物を作る機会が減りましたが、飲めば確かに体が温まる。昔の人の知恵をひしひしと感じます。」と話している。